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主に本と映画のライフログ

フロスト日和

役立たずのボンクラオヤジと陰口を叩かれる名物警部フロスト。不眠不休の奮戦と推理の乱れ撃ちは続く。本の分厚さに、けっして怖じ気づくことなかれ。終盤50ページはとにかく圧巻! こん畜生めと悪態をつきながらページを繰る手が止まらない。笑いも緊張も堪能できる、まさに得難い個性の第二弾。1997年の宝島社『このミステリーがすごい! 』第一位。
あれ? フロストってこんなにかっこいいオヤジだったっけ? 前作「クリスマスのフロスト」から間を空けすぎたらしい。イメージの中ではジョイス・ポーター“ドーヴァー警部”や赤川次郎“大貫警部”よりな気がしてた。どっちかというと、トレヴェニアン「夢果つる街」のラポワント警部補ニアリーな感じ。先入観があったせいか、いい意味での裏切り。人間味溢れるフロスト警部と、それをわかってないボンクラな周囲の人間たちみたいな構図で読んでしまった。相棒のウェブスターとのラストシーンに痺れた。きっちりカタルシスを得られる、よくできたモジュラタイプの警察小説。