隠し部屋を査察して

スコットランド出身にしてカナダの鬼才エリック・マコーマックの短編集。「隠し部屋を査察して」「断片」「パタゴニアの悲しい物語」「窓辺のエックハート」「一本脚の男たち」「海を渡ったノックス」「エドワードとジョージナ」「ジョー船長」「刈り跡」「祭り」「老人に安住の地はない」「庭園列車第一部:イレネウス・フラッド」「庭園列車第二部:機械」「趣味」「トロツキーの一枚の写真」「ルサウォートの瞑想」「ともあれこの世の片隅で」「町の長い一日」「双子」「フーガ」の20篇を収録。
奇妙でユーモラスかつグロテスクでそこはかとなく怖い悪夢のようなロンド。完成度では間違いなく表題作が抜けている。諸星大二郎的「パタゴニアの悲しい物語」、SFマインドな「刈り跡」、サスペンスフルな「祭り」、バーセルミを思わせる「ともあれこの世の片隅で」などいずれ劣らぬ不思議話。さまざまなトッピングがほどこされたチョコの詰め合わせ箱を連想した。これから読む人は、ぜひ寝る前に1篇ずつ読んで20日間厭な夢を見てほしい。