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主に本と映画のライフログ

わが母なる暗黒

十歳の時、何者かが母を殺した。そのトラウマが天才作家を生んだ。暗黒小説の大家による凄絶きわまりない自伝。妄念にまみれた私小説、母への愛を証明する血塗られた墓標。1958年6月22日。ジェイムズ・エルロイの母が惨殺死体で発見された。この事件が少年エルロイを狂わせた――生活無能力者の父との荒れた生活。凄惨な悪夢と歪んだ妄想にとり憑かれたエルロイは社会に適応できず、酒と薬物と犯罪に溺れる。狂気の縁から彼を救い出したのは「小説」だった。地獄から生還し、アメリカを代表する作家となった彼は、母が殺された町へ帰る。いまも未解決の母の事件を解決するために。母を殺した男を捜し、母の秘密を暴き、母への愛を証明するために。本書はその全記録、母への狂おしい愛をを刻み込んだ鎮魂の書である。
疲れた。長い、クドい、気が滅入る。いつもは物語の厚みと感じられるエルロイの妄念が、生生しく裏目に出ている。