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主に本と映画のライフログ

ガラスのなかの少女

アメリカ探偵作家クラブ賞受賞作。大恐慌時代のアメリカ。詐欺師のトマス・シェル、その相棒アントニー・クレオパトラに拾われた不法移民のメキシコ少年ディエゴ。1932年、ディエゴはシェルの催すインチキ降霊会で「インドのオンドゥー(霊能力者)」スワミを演じていた。シェルの様子がおかしい。よりによって超リアリストのシェルが降霊会に中に少女の幽霊を見てしまったのだ!

フリークスの饗宴。面白い。ポール・オースターの傑作『ミスター・ヴァーティゴ』とちょっと似てる(悲劇的要素は少なめだ)。擬似家族とハイ・パフォーマンス。鮮やかなトリック、驚愕の結末を望む方には不向き。ミステリじゃない。キャラクタの魅力、会話の妙、びっくり人間大集合。信頼は裏切られないし、物語は望む方向へ進む。ウェルメイドな正統派のビルドゥングスロマンだ。