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主に本と映画のライフログ

人間の証明

母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?
ええ、夏、碓氷から霧積へゆくみちで、
谷底へ落としたあの麦わら帽子ですよ。

母さん、あれは好きな帽子でしたよ、
僕はあのときずいぶんくやしかった、
だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから。

犬神家の一族』に続く角川映画第2弾。音楽監督が大野雄二だけあって、聞きどころ満載だ。『サンダーボルト』のワル中年レッドさんことジョージ・ケネディがアメリカ側の刑事役を熱演。最初に脇役から語るのはどうかと思いつつ、おでん屋の客(大滝秀治佐藤蛾次郎)や霧積温泉の主人(伴淳三郎)、横川の警官(室田日出男)など細部にこだわった無駄な豪華主義がうれしい。深作欣二森村誠一角川春樹、E.H.エリックもチョイ役で出てる。西条八十の詩がすべてである。運命の神の悪戯に翻弄される八杉恭子(岡田茉莉子)、棟居刑事(松田優作)、ジョニー・ヘイワード(ジョー山中)は詩を効果的に演出するための道具立てに過ぎない。