諸怪志異(一) 異界録

犬土／異界録／妖鯉／幽山秘記／鬼城／小人怪／魔婦／三呆誤計／花仙境／毛家の怪／連理樹

『聊斎志異』『捜神記』など中国の古典を基に志怪の世界を収集した諸星流今昔物語。何かしらのアレンジを加えているもの、まったくオリジナルなものが混ぜこぜになっているらしいです(正直、区別がつきません)。“五行先生と阿鬼”シリーズとノンシリーズが交互に収録されています。
前者のほうは圧倒的な霊的超人(正義の道士＝五行先生)の存在によってフォーマットが固まっており、安定感があります。比較的ユーモラスな作品が多い気がします。阿鬼ががんばる「魔婦」(オチの台詞が渋い)、なんと五行先生が居眠りしてしまう「花仙境」など。
後者は縛りがない分、自由奔放にやりたい放題、ヴァリエーションが豊富です。諸葛恪(諸葛亮の甥)の異様な体験を描いた内臓感覚溢れる「異界録」、ふたりの神にジャッジを振られてオロオロする仙人候補生の行く末にニヤリゾ*1な「幽山秘記」、SF的能力を身に付けた3人の与太郎噺「三呆誤計」など。

*1:すみません。造語です。ニヤリとしてやがてゾーッとする感じ。