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主に本と映画のライフログ

殺しのグレイテスト・ヒッツ―アメリカ探偵作家クラブ賞受賞

世にも珍しい“殺し屋”に特化したアンソロジー。

  • ローレンス・ブロック「ケラーのカルマ」★★★★★
  • ジェイムズ.W.ホール「隠れた条件」★★★☆☆
  • マックス・アラン・コリンズ「クォリーの運」★★★☆☆
  • エド・ゴーマン「怒りの帰郷」★★★☆☆
  • バーバラ・セラネラ「ミスディレクション」★★★★☆
  • ジョン・ハーヴェイ「スノウ、スノウ、スノウ」★★★☆☆
  • ロバート.J.ランディージ「おれの魂に」★★★★☆
  • ジェフ・アボット「カルマはドグマを撃つ」★★★☆☆
  • リー・チャイルド「最高に秀逸な計略」★★★★☆
  • クリスティーン・マシューズ「ドクター・サリヴァンの図書室」★★★☆☆
  • ケヴィン・ウィグノール「回顧展」★★★☆☆
  • マーカス・ペレグリマス「仕事に適った道具」★★★★☆
  • ジェニー・サイラー「売出中」★★★☆☆
  • ポール・ギーヨ「契約完了」★★★★☆
  • ジェフリー・ディーヴァー「章と節」★★★☆☆


ローレンス・ブロックの「殺し屋ケラーシリーズ」は超お気に入りなので別格として、平均以下の作品がない。好みに照らしても同じこと。バーバラ・セラネラの短篇はタイトルから挑戦的。自らハードルを上げてなお十分に満足な読後感。女囚ふたりの人物造形が巧み。リーダビリティも高い。ロバート.J.ランディージの短篇は引退した殺し屋と保安官の友情を描く。ゆったりとした田舎の情景といまだ残るプロフェッショナルの手付きとが好対照。リー・チャイルドの短篇は回顧形式。順風満帆に思えた仕事ライフが一転する皮肉な一瞬。マーカス・ペレグリマスの短篇は新兵と教官のファースト・コンタクト。外れのないシチュエーション。冷徹なるベテラン教官が最後に放った一言が未来を暗示する。ポール・ギーヨの短篇は殺人請負株式会社を提案。星新一ショートショートを思わせるシビアなツイスト。油断すると寝首を掻かれるものだ。ぼくの信条にも合致する。最後にローレンス・ブロックの短篇。中年の“職業殺し屋”ケラー。日常感覚で粛々と仕事をこなす。もっともっとケラーを読みたい。

殺しのリスト (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)

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殺し屋 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)

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