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主に本と映画のライフログ

イカとクジラ

全米、NY、LA批評家協会賞を総なめ。ノア・バウムバック監督の自伝的映画。1986年、ブルックリン。かつて文壇の寵児だったインテリの父(スランプの作家、大学講師)、現在売れっ子作家(『ニューヨーカー』掲載)の母。作家の両親を持つ息子ふたり。離婚、共同監護、新しい生活。

イカとクジラ
新宿武蔵野館にて。通常この手の物語って父母を中心に家族のあり方を描き、子どもたちを梃子に再生していくものが多い。本作は家族のひとりひとりにスポットライトを当て、壊れたインテリ一家のヘンテコっぷりを突き放した目線で淡々と綴っていく。父は“父”である前に男(むしろ男の子)だし、母はもろ“女”だ(生々しくてキモいくらい)。兄弟はさかりのついた青臭いガキで『リリイ・シュシュのすべて』並に痛々しい。そうなのよ。すっげーリアルですっげーシビア。だがそこがいい。『X-MEN』のローグ役アンナ・パキンが父の教え子を演じていて、時の流れの速さを感じた。テニスコーチにして母の愛人アイヴァン役のウィリアム・ボールドウィンの情けない八の字眉毛を見て、案外和む今日この頃。

ライフ・アクアティック [DVD]

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