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主に本と映画のライフログ

スペシャリストの帽子

カーネーション、リリー、リリー、ローズ
・黒犬の背に水
スペシャリストの帽子(世界幻想文学大賞受賞作)
・飛行訓練
雪の女王と旅して(ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア記念賞受賞作)
・人間消滅
・生存者の舞踏会、あるいはドナー・パーティー
・靴と結婚
・私の友人はたいてい三分の二が水でできている
・ルイーズのゴースト(ネビュラ賞受賞作)
・少女探偵

アメリカの短編作家ケリー・リンクによるヴァラエティに富んだ全11篇。
なんと形容していいか説明に困る作品ばかり。幻想文学と普通小説の垣根を軽やかに越え、煙に巻かれたような余韻を残す。珍妙なり。「靴と結婚」は4つの小話が集まってひとつのハーモニーを奏でる(シンデレラ後日談的な話もあり)。「ルイーズのゴースト」は同じ名前を持つ親友ルイーズとルイーズの話。話者のルイーズの家に幽霊が出現し、日に日に毛むくじゃらになっていく。意味がわかりません。全体的に「何が起こるのか予想がつかない」もしくは「何が起こっているかよくわからない」ところが面白さの肝だと思った。詩的だったり、寓話風だったり。計算なのかナチュラルなのか。