グラックの卵
アンソロジー“未来の文学”第1弾『ベータ2のバラッド』に続く第2弾。「見よ、かの巨鳥を!」「ギャラハー・プラス」「スーパーマンはつらい」「モーニエル・マサウェイの発見」「ガムドロップ・キング」「ただいま追跡中」「マスタースンと社員たち」「バーボン湖」「グラックの卵」全9篇。アンソロジーに入りにくい長さのもの、中篇を中心にセレクトしたとか。浅倉久志氏の好みがよくわかる……。
「ギャラハー・プラス」「モーニエル・マサウェイの発見」は古きよきSFの芳香。「見よ、かの巨鳥を「バーボン湖」はたとえば『アメリカ民話集(ほら話篇)』(もちろんこんな本はありません!)に収録されてもおかしくないバカっぷり。「ガムドロップ・キング」は寓話的でファンタジックなジュブナイル。「グラックの卵」はお色気ありのスラプスティク・コメディ。そんな中で異彩を放つ、スラデック「マスタースンと社員たち」。全世界の会社員必読。組織というものは大きくなるにつれシュールで無意味なシステムと化していく。
※スーパーマンで連想した蛇足
「スーパーマンはつらい」を読んでラリー・ニーヴン「スーパーマンの子孫存続に関する考察」(『無常の月』所収)を思い出した。スーパーマンの性生活を真面目に考察した好短篇。
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